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アリガトウ 千本ノック

私が小説を書きはじめたのは
確か32 33の頃である。
最初の作品は忘れてしまった。
その1年前くらいに映画作りに関わった。
これが決定的であった。
何かを生み出す喜びは私を魅了した。

ある朝私は何の根拠もなく
「俺は作家だ」と決めた。
頭がいちばんさえている朝の8時間を
創作に捧げることにした。
これが実行できれば立派な作家だと思えた。

くる日もくる日も私は書いた。
自分の小説ではなく
おもしろそうな作品を書写した。
3Bの鉛筆を使ってである。
2年ばかり頑張り
運よく新人賞をもらった。

当時書き写したのは
おもにヘミングウエイの短編である。
いかにも体育会人間らしく
私は自らの努力を
「文体の千本ノック」と呼んだ。
ろくろく小説を読みも書きもしなかった私が
賞をもらえたのはこのノックのお陰に違いない。

最近またこの「千本ノック」を復活させた。
以前と変わらず3Bの鉛筆を使って。
変化と言えば鉛筆から
9mmの芯のシャペンに進化(?)し
書写の対象が小説から韻文に移ったことにある。
これがとても楽しい。
和歌や詩を書き写し
そこから生まれた創作のヒントをメモし
盗めそうな技法をちゃっかりいただき
作品に仕上げていく。

前回(5月16日)のブログに書いた詩
「美しい町」もこの「千本ノック」から生まれた
「奇跡の木」を共に作ってくれた
イラストレーターの藤井さんにさっそく読んでもらい
絵本に仕上げる計画にも着手した。
私の詩がどんな絵本になるのか
メチャメチャ楽しみである。

手を使って書き写していると
新たな発見がいろいろある。
小説であれエッセイであれ韻文であれ
書き手は常にかっこよく 凛として 
力強く 新鮮な言葉を求める。
これまで私はそれらの言葉を
他人の作品や自分の薬箱をかき回して
探していたのだが
それが間違いと気づかされた。

凛とした本物の言葉は
凛とした私の生き方の中にしか見つからず
かっこいい言葉も
力強い言葉も
新鮮な言葉も
すべて私がそのような生き方をしなければ
永遠に私の言葉にならないとわかったのだ。
このような気づきを得たのも
「千本ノック」効果かな?
アリガトウ 「千本ノック」
家来のジジ
雨の日の昨日は
パンダとお留守番。
パンダは4匹いる家来のジジたちを従え
根城のロッキングチェアに陣取っていました。
夜はいつものようにパンダと大バトルをしました。
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